「もしかして、なお君の。

あ、そうよね、覚えてる覚てる!

ね、私と前に会ったことあるでしょ?

ええと、そうそう、詩信ちゃん!」


「あ、はい。

なお君のお友達の……」


「葉月です!」

前に会ったときもそうだったけど、はつらつとしていて、大人っぽい。


ステキな人だ。


なお君にはこんな明るい人が似合うんじゃないかな。

私みたいな訳ありな女より……


「なお君、いない?


おかしいなあ寝てるのかも。

今鍵開けるから。

入っちゃお?」


鍵を持ってるとか、それって見せびらかしてるの?

彼女が私って判ってての牽制とか?



「あ、あの、

なんで鍵……を」


当然のように鍵を開けて入って行く葉月さんを追いかけながら、

やっぱり、状況に納得できてない私は、

大胆にも彼女に質問してしまった。


「あ、そうだよね、彼女がいるのに知ったかぶって

あのね、たまたまなの、

たまたま肺炎になりかけてたなお君拾ってね、

何となく世話をやいちゃってるの。気にしないでね。


放っておけなかっただけなのよ。」