「ここ?」

表札にも名前が出ていないけど、メモどうりならここなのだ。

勇気を出してドアをノックする。

トントン


トントン


反応を待っても誰も出てこない。


ごくり

息と一緒に喉を鳴らす。

ドンドン


「なおくん!」


ドンドン


「なおくん!」


ドンドン!


いないのかな。

「困ったな」

口ではそういいながらほんのちょっぴりほっとしている私がいる。

ドン!

「なおくん……いないんだ」


ダメだな私、せっかく覚悟決めて来たっていうのに、やっぱり、諦めきれないんだ。

最後にドアをおもいっきり叩いたあと、その手を引けないでいる。

「あら?」

そんな私を見て変に思ったのだろうか、

あわてててを引っ込めて振り返ると、

見覚えある人だった。