_______


高校生になった私、

恋なんて自分には縁がないと思っていた。



そんな私が、心を動かしたのは、

同じ図書委員の谷川くん。



どのクラスの男子も女子にまかせて、

帰ってしまう子が多かったのに、

彼は違っていた。


必ず「俺は部活入ってないから」

と言って放課後の係を引き受けてくれ、

昼休みの楽な時間を私に割り当ててくれ、

面倒なことは、

あらかじめ段取りをしてくれ、楽な方を回してくれた。


陸上部で、

たったひとり1年女子だったせいで、

雑用は全部私だった。


今思うといじめだったのかもしれない。


彼は、そんな私を知っていて、

大丈夫かと心配もしてくれた。



その優しさは、

自分だけに向けられたものだと

勘違いしたのだ。

それからずっと、

私は彼と一緒になりたくて、

ずっと図書委員。



彼の優しさは、

わたしのためじゃなかったのに気がつくのは、

2年の冬。

3年生がもうまばらな学校の図書館。

係りの仕事の片付けの後、意を決して、

彼に渡そうとしたチョコレート。

前の晩から準備し、

想いをつづった手紙とともに渡そうとした。

「悪いけど、俺本命チョコしか貰わないんで。」

告白もさせてもらえず、

友チョコと認識され更に断られた……




あのバレンタインからすぐのことだった。