目の前に並べられた、御馳走に目がハートになっている陽くん。


あんたの幸せゲージは食なのかい?


「御馳走様でした~。」


「あら、あら、おばさんもこんなイケメンにイッパイ食べて貰えて幸せよー。

本当、気持ちいい食べっぷり」


「すみません、図々しいやつで」


「いいのいいの、大勢で食事とか久し振りだし!

楽しかったわ」


「またきていいですか?」


「ええ、どうぞ」


「ばっか駄目に決まってるでしょ」


「詩信には聞いてないから」

「どうして、あんたはそう、図々しいのよ!

て言うか、私のテリトリーに入って来るの?

言ったわよね。私陽くんが嫌いだったって、未だ許せてないこともあるのよ。

それなのに、なにもなかったみたいに、幼なじみ風吹かしてつきまとなんて、

迷惑だって分からないの?」



「詩信……」


「しのちゃん……言い過ぎよ」


「だって、この人、これくらい言わないと分からない」


「いいんですよ。こいつ照れ屋だから」


「なんでそういうことに!」


「ふふふ仲良しなのね」



「もうっやだっ!」


何となく、流されて、『いいや』って、

諦めてしまう私、

陽くんといると、そういう後ろ向きな私が、

まるでそれが正解であるような、

あの頃の忘れていた私に戻ってしまう。