---------------


「駄目だな」

「え?昨日のとどこが違うのでしょう?」

「昨日のとどこが違うか?

 それはしのちゃん自身が判ってるんじゃないのか?

 それが判るまでは作っても意味がないな」

「でもあのっ」

「パイ生地の材料そろえておいて。

 それ終わったら今日は帰っていいから」


「店長!」

「返事以外は聞きたくない」

「はい……すみません」


がっかりさせちゃった。

いつだって応援してくれて、

時に厳しくたって、私の気づきを待ってくれる店長、

今回も、きっと私にもっと成長してほしいんだって、

それは判ってるけど、


「はあ……」


冷蔵庫からバターの箱を取り出しながら、

不甲斐ない自分にため息しか出ない。