絶対何も食えないと思っていたのに、

意外に美味くてぺろりとお粥頂いてしまった。

胃に物が入ってかえって落ち着いた気がする。


「ごちそうさまでした」


「良かったです。主人の作る薬膳粥は二日酔いに効きますよね」


「薬膳ですか」


「はい、朝鮮ニンジンとウナギの骨の粉にサルの腰掛、すっぽんの血に……」

げええっ


「わああ、もいいいですっ」

ビビる俺に


「冗談ですよ、安心してください。普通のお出汁の入ったお粥です。」

奥さんはくすくす笑った。


「奥さんも冗談言うんですね?」

そういうと、奥さんは小首をかしげながら、

「え?私どう見えてるんですか?」

というので、

「昨日奥さんの身の上話みたいなの聞いちゃって、すみません。

 なんか大人しいっていうか健気なイメージを勝手に想像して」


「そうですか、確かにあまり交友関係広いわけではないですね。

 それに、私最近まで海外で暮らしていましたので、

 ほかの方よりちょっとずれているらしいんです。

 日本での暮らしも随分なじんできたと思うんですが。

 初対面な方がそう感じるなら

 まだまだですね」


ふふふと笑う奥さんは、

まさにいいとこのお嬢様だ。

その辺にはいないような、

浮世離れした、


そう天使様みたいなイメージ。


いいな、ノムさんはこの笑顔に癒されてるのか。