「お前は、分かってないんだよ。

お前の家族は充分お前を大切にしてるのに

なんでそれを信じられないんだ。

分かってんのかよ、お前をどんなに愛してるかを」


「愛してる……って……」


「あっ……誤解すんなよ、

おれっていみじゃねーからな!」


真っ赤な顔して否定されたら、


そういう意味にとれちゃうんだけど、

それは、ちょっとややこしくなるから、

言葉通りに受けとることにする。


「わかってるよ」


「嘘つけ」


「わかってるけど、怖いんだもん、しょうがないでしょ?」


「何がだよ」


「大切なものはがある日突然なくなるかもしれないって思ったら、

先回りして、ダメージを少しでも少なくしようと、する癖がついちゃったんだもん」



「それで、カミングアウトしてたわけか」


「今、大後悔中」


「馬鹿だなお前、女なんてのは、少し位ひみつあったほうが、魅力的だっていうだろ?

ばか正直に全部さらけ出したら男は引くだろうが」


「やっぱり、そうだよね……引いちゃったよね」


身体中の空気が抜けちゃうくらい脱力する。

気持ちなんてぺしゃんこだよ。