力強く抱きしめられた感じがして、

ふううぅうぅ


息が抜けていく。


「大丈夫、お前は何も悪くない。

 パパが悪いんだ。


 大丈夫。

 詩信はそのままでいいんだ」


「パパ……」


「いい子だ、ゆっくり吸ってゆっくり……」


靄がかかったみたいな意識が少しずつ晴れていく。

ふぅぅ……


こわばった筋肉がほぐれて、

自分の身体が戻ってきたような

そんな感じ


「もう大丈夫だ。詩信、今日はもうこのまま寝なさい。

 陽君驚かせたね、もう大丈夫だから君も寝なさい 」


「はい」

気がつけばソファーにぐったりと身を任せていた。

パパにしがみついてたみたいで、

パパまだ腰が良くないのに、

私が安定するまでずっと疲れる体勢で私を抱きしめたままでいてくれたみたい。

陽君は驚いたまま少し離れた場所で私を見ていた。

「パパ、ありがとう。」

「ん」

笑顔で、私の頭をポンポンと撫でた。


暫くなかったからすっかり忘れてた。

過換気症候群

精神的な不安が一番の原因。

忘れていたわけじゃない。

手放しで信頼していたものから裏切られる恐怖。

もう、耐性ができてたと思ってたけど、

まだこんなにも不安定な心が私の中にあったんだ。