「ただいま」

玄関のドアを開けると、

待ち構えてる様に、仁王立ちしている男。


「どこ行ってたんだよ」

「陽君……って、まだいたの?」

「しばらく世話になるって言ったじゃん。

 それにお前がここまで連れてきたんだろ?」


「何言ってんのよ、あんたが強引に連れてこさせたうえ、

 お姉ちゃんに取り入って、

 居すわったんでしょ?」


玄関の靴を靴箱にしまって、


立ち上がると、洗面台に向かう。

陽ちゃんはくっついて来る。


私は無視して、いつものように儀式をする。

手を洗い、石鹸を泡立てて顔を洗う。

ドアに寄り掛かり一連の動作を見ながら、

クククっと笑う。