「佐野くんだって呼んでくれない。」 「は?」 「城山さんのことは名前なのに私のことは名字だもん。」 なに?この可愛い生き物。 少し赤く染めて、不機嫌なのかくちびるを尖らして言うこいつ。 そんなに呼んでほしいのか。 なら、呼んでやる。 「柑奈。」 「え?」 俺はこいつの耳に口を近づけ、とびっきり甘い声で、 「柑奈、好きだ。」 その瞬間、 ぼんっ というかのようにいきなり赤くなる。