そのとき風の音に、私の独り言がかき消される。

そんなことが気にならなくなるくらいに、そのノートに描かれていた絵に、衝撃を受けていた。

「女、の子……?」

なんて綺麗な子なんだろう。

開けられた窓から吹く風になびく髪から、その手の指先一つに渡るまで、繊細で丁寧に描かれている。

ほとんど後ろ姿だけなのに、とても存在感があって。

嫌でも分かってしまうほどに、その子のことを想っていることが伝わってきた。

このノート、竹島くんの…だよね。きっと。

竹島くんは、きっとこの人のことが好きなんだね。

だって分かるもん。こんな絵を見ちゃったら。

うん。そうだよね…。そっか……。






「あ、あれ…?」

頬を伝った温かいもの。

私は目を見開いて、パタパタと机に雫が落ちていくのを見つめていた。

嘘…。なんでこんなときに涙なんか……

「……っ!!」