最初に見かけたのは、図書室からの青空が思いのほか綺麗で、上を見上げていたとき。

俺のクラスの窓際でなびく、柔らかくて長い黒髪。

その女の子に、心当たりだけはあった。

「(確か……、窓際のほうの前の席の女の子だたような…)」

きっかけはただそれだけ。

ほんの興味本位だったんだ。

だけど

「(あれ?今日も…)」

「(昨日もいたよな……)」

毎日、どうしてか目に入った。

その小さな身体が。

「何、書いてんだろ…」

遠目にも分かるほどの優しい表情。その瞳に。

視線も、心も、いつの間にか染め上げられていたんだ。

授業中にも気になって、彼女と同じように自分も絵をかいてしまう始末。しかも彼女自身を。

それほどに、彼女に惹かれていたんだ。