「でも王宮には入れないでしょう?魔法のシールドが邪魔をする。」

「国王の誕生祝賀会の時は入れるだろ。娘の婿が王宮で働いているから知ってるよ。」

口の軽い奴がいるものだ…

それよりも

「今日は何日ですか?」

セレは目覚めてから、正確な日付を確かめていなかった。

「今日は5番目の季節の24日だね。」

ヤールの誕生日は明日だ。

「まずい…」

思わず口に出た。

「は?まずい?何か口に合わなかったかね?」

「いえ、そうではなくて…すみません。ちょっと出かけて来ます。」

「今からかい?もう暗いぞ。」

その時ピアリが来た。

「セレ。」

可愛らしいパジャマを着ていた。その姿をセレに見せたかったのだ。

「ねぇ、これ着せてもらったの。どう?」

「ああ。可愛いよ。」

気の無い返事だ。

「本当に?」

機嫌が悪くなりそうなピアリにセレは耳打ちした。

「ピアリ、悪い。今から…」

「今から?」

「王宮に行って来る。ヤールが危ない。」