「みんな不満だらけさ。王を亡きものにしようと考える奴も出て来るさ。」


どんなに徳政を行っても全国民が不満ゼロになるなんてあり得ないが、まだまだ聞けば色々とありそうだ。

ヤールは賢王だと思うが…

「しかし、国王陛下はなかなかの魔法使いと聞きます。

大抵の毒なら飲む前に判るでしょう。そう簡単に殺られるとは思えませんが。」

「まぁな。でも盲点てのはある。」

「盲点?」

「さっき言っただろ。これだよ。」

と、酒のグラスを指で弾いた。

「魔法使いは酒には酔わないって話だけど、特別な酒があるそうだよ。

魔法使いでも気付かないらしい。魔力の強い者ほど酔うそうだ。

それを飲んだら国王陛下もただの酔っ払いさ。殺す事もできるだろうよ。

…ああ、そうか、お前さんも酔わないんだな。」

「酔わないけど、美味しいから。」

「そうなんだよ。これはいい酒なんだ!あんた、わかるねぇ!」

かなり酔ってきている。話がそれてしまいそうだ。

「魔法使いを酔わせる酒とは?」

「スズメバチの毒から作るんだってよ。どうやって作るんだろうなあ?普通の人間が飲んだら死んじまうよ。」

…初めて聞いた。勉強不足だ…