「また会うことがあったらね。」

「会いに来るわ。」

「私はずっとここに居るわ。私が生きている内なら何時でもどうぞ。」

「ええ。きっと来る。」

ローエンも声をかけた。

「ピアリ、くれぐれも無理はしちゃいけないよ。いつもセレ様の目の届く所に居なさい。」

「はい。気をつけるわ。」

「そろそろ行くとしよう。やはり暗くなる前に森を抜けた方がいい。」

セレは出発を促した。

「そうだね。」

ローエンの口癖だ。しばらくはこの口癖も聞く事は無い。

ちょっとだけ寂しいな、とピアリは思ったが、旅への憧れは変わらなかった。

シエナはピアリに髪飾りを贈った。マクラメになっていてオパールが散りばめてある。

「綺麗だわ。ありがとう。行ってきます。」

ピアリは元気な声で言った。

ローエンは重ね重ねセレにピアリの事を頼んだ。

セレはローエンに

「あなたの代わりにピアリを守る事を約束します。」

と言った。そして姿勢を正して

「シエナもローエンも元気で。」

と挨拶をした。

セレが改まると威厳が感じられる。やはり王族だ。



「行こう。」


セレとピアリが出発したのは正午の少し前だった。