どうやらノーラが目当ての様だ。

「何年待ったかな? 4年、いや5年だな。収穫祭の時に初めて見たんだ。

何て美しい女性だろうと驚いた。

でも婚約者もいたし、僕の所に来てくれるとは思えなかった。」

「私は、諦めてはなりませんと申し上げました。」

「そう。チューレが言ったとおりだった。なんと、落馬して僕の診療を受けに来てくれた。」

「運命ですな。それもレビン様の医師としての名声があったからです。」

「仕事は真面目にやるもんだね。いやぁ、本当に驚いたよ。

足が不自由になった事で婚約も破棄されたと言うし…。これはチャンスだと思った。」

「傷付いたノーラ様に、レビン様の優しさが伝わればきっと慕って下さると思っておりましたが…」


「歩ける様になったとはね!絶対に治る筈は無いのに。

聞けば、誰かがノーラに魔法を教えて足を動かせる様にしたのだそうだ。」

「余計な事をする奴がいるものですね。」

「全くだ。おかげでまた手間がかかってしまった。

たまたまカラスが光る物をくわえていくのを見て『これは使える!』と思ったのさ。

手懐けるのは意外に簡単だったよ。」

「レビン様は頭がよろしい。」