夕方近くになって、やっとセレとピアリは二人きりになれた。

老夫婦が買い物に出かけたのだ。

早速、ピアリはセレに訊いた。

「ねぇ、その傷、どうしたの?」

「王宮の魔法使いにやられた。」

「王宮に忍び込んだって事ね。」

「そうでもしなきゃヤールに会えない。」


本当の兄弟なのに… ピアリは悲しくなった。


「国王陛下には会えたの?」

「ああ。変わらなかったよ。大事な事は  ちゃんと伝えた。」

「大事な事?」

「ヤールの命を狙う者がいるって事さ。
 魔法使いでも酔う酒があるんだ。

 それを今日の誕生会で飲ませられるかも
 しれないって、ロスターさんから
 聞いたんでね。」