類「お母さん！！」



あの日ー…

お母さんは病院に運ばれた



治療室で手術を受けている間…私とお姉ちゃんとお父さんは椅子に腰かけていた




華「何でっ…お母さんが…」



類「…………」



お姉ちゃんは泣いていた

人前で…少なくとも私の前で涙を見せたことがないお姉ちゃんが…


肩を震わせていた




父「……華」


そんなお姉ちゃんを元気づけるようにお父さんはお姉ちゃんの肩を抱いた



その時ー…


ガラガラッと機材を出すような音が聞こえ

治療室の中にいたお医者さんが出てきた



父「先生！妻は…」


医「えぇ、一命は取りとめました。時機に目も覚ますでしょう」



父「良かった！ありがとうございます！」



医「ですが、暫くは様子見として入院してもらう形となりますが…」



父「はい。分かりました、ありがとうございます」




お父さんは深々と頭を下げる

お医者さんは軽く会釈をすると通りすぎていった




類「……ごめんなさい」



…私のせいで

…私がここにいるから



二人の視線がこちらへと向けられる


…言いたいことが目から伝わってくる


お前がこの家に来たからだと

何でお前じゃなくてお母さんなんだと



でも、お父さんが口に出したのは逆の答えだった