「失礼します」

受付で注文してあったドリンクをトレイに乗せて、店員さんがやって来た。
あたしと黄原は、話を中断してドリンクを受け取った。

店員さんが出ていく姿を見届けて、黄原が話を再開する。

「なにがあった?」

「あ、いや、あの……」

親友の失恋話なんて、勝手にするものじゃないよな。愛ちゃんに失礼だ。

「桃瀬さんと、緑木先輩のこと?」

「え……?」

どうして、わかるの?

「どうしてって顔してるけど、わかるよ。
俺は、うみばっかり見てるから」

頭を撫でられた。
ああ、今日も黄原は恥ずかしい……。

って、あたし、今そんなこと思いながら照れてる場合じゃないんだけどな。