「緑木先輩の言葉です。
無意識なんだと思うんです。
先輩に、悪気なんてないとも思うんです。

でも……。
一緒にいても先輩が見ているのは、わたしじゃありません。
紅先輩なんですよ?」

「え、俺、そんなこと……?」

どうやら自覚がないらしい先輩は、驚いた顔をしている。

「昨日は、喫茶店でココアを注文したわたしを見ながら、晴香なら紅茶だな、でした」

緑木先輩はその愛ちゃんの言葉に、ハッとした。

「憧れの先輩とお付き合いすることが出来て、わたし、すごく舞い上がっていました。
だから最初は、そんなの全然気にならなかったんです。
でも最近、苦しくて……」

愛ちゃんは、続ける。