そのとき、片岡さんは私の腕を引っ張り、抱き寄せた。

「か、片岡さんッ…?!」

片岡さんの顔を見ようと上を向こうとすると、もっとギュッと強く抱きしめられ、頭を押さえつけられた。

なになになになに!どうしちゃったの?!

「虹なんか見てねぇで、俺だけ見てろ。」

耳元でそう呟く片岡さん。

耳はだめーーっ!
ドキドキしていてもたってもいられなくなり、声を出そうとした。