ガチャ

少し重い扉をゆっくりと押すと

冷たい風が肌をなぞる


屋上のフェンスにもたれかかる男の人

きっと朝陽くんだけど、あまりにも

大人になりすぎて少し戸惑ってしまう


「あ、朝陽さん!」


振り向くあなたは私の知らない

男の人へと変わっていて息を呑んだ。


「えっと…。」

困ったように笑う朝陽さん


「陽菜です。覚えてませんか?」


「あぁ、陽菜ちゃんか。

すっかり綺麗なお嬢さんになったね。」

社交辞令だと分かっていても

褒められること程嬉しいことはない。