福島先生が落ち込むところ…
ましてや泣くとこなんて
多分この学校の生徒は
誰も見たこともないだろう。
いつもヤンキー混じりな口調で
淡々としているから
裏で「ボス」なんて
呼ばれたりもしていたくらいだ。
どうしたものかと思いながら
ゴミを拾い終えようとしていた。
「うわ。びっくりした」
散らばったゴミの中にまた
血のついたティッシュが
沢山捨ててあった。
まぁ、夏だしこんだけ気温が高ければ
鼻血の1回や2回出てもおかしくない。
俺はゴミを集め終えて焼却炉へ駆けた。
焼却炉にはいつものように
事務のおじさんがいた。
「おじさん!」
俺が叫ぶと、こっちに
気づいたおじさんは
にこやかに手を降ってくれた。
「なんだ。なつくん久々にゴミ捨てか」
おじさんは俺の事を
“なつくん”と呼ぶ。
「じゃんけん強いんだ。今日は例外」
そういって焼却炉にゴミを流し入れると
おじさんは眉をひそめて言った。
「大丈夫かなぁ。また鼻血かぃ」
「また?」
俺は思わず聞き返した。
おじさんの話によると
ここ2ヶ月前くらいから
血のついたティッシュが
捨てられるようになったらしい。
しかも日を増すごとに
出血量が増えているとかなんとか。
怖い系の話が大嫌いな俺は
背筋が凍った。
「びびりだなぁ。大丈夫だ。鼻血鼻血」
「勘弁してよおじさん」
そう言って俺は教室へと戻った。