「溶けるぅぅぅ」
毎年夏は高気温なこの町も
今日はやけに暑い。
最高気温を軽々と超えたくらいだから
教室は特別にクーラーで
ガンガンに冷やしてる。
「人は溶けない」
俺はクールにツッコんだ。
が、大阪生まれのコイツに
こんな生ぬるいツッコみは利かず…
「ほな、何度なら人溶けんねん。」
とか意味不明な質問をされる。
知るか。と言いたいが
めんどくさいのでスルーしておく。
大体のことはスルーするんだけど
「…ほな、何度なら人溶けんねん。」
「知るかぁぃ!」
絶対2回目が来るから流しきれない。
そんなこいつ…
新垣 楸也(あらがき しゅうや)とは
かれこれ2年の付き合いだ。
高校に入って同じクラス
名前順の席で楸也が1番
俺は石井だから2番だった。
人見知り…って言うか
人間が嫌いだった俺は
前の席の有り得ないほど
テンションの高い奴が恐ろしかった。
まぁ、見事に席に着いた途端
話し掛けられて
「俺、新垣 楸也! 新垣 楸也! よろしく! 」
「は、はぁ。なんで2回? 」
「えっ。大事な事やから!!」
一瞬で悟った。コイツはバカだ。
「俺は石井 棗(いしい なつめ)。」
「そうか!棗か!棗!かっけーじゃん」
クラス中が俺を見た。
本当にやめてくれよ。まったく。
まぁ、そんな感じで仲良くなって
今じゃ親友だから驚く。