「うっ…。何が起こったんだ。突然爆発がして…」
そこまで言ってユイとライの存在に気付く。
「何故、ライがいる?ユイがいるのに」
「あーこれ?ユイが薬投与したからだょ。オレをユイから分離する薬をな」
ユイがオレと分離できるようにって親父が作っといたんだ。と、ライはアランに説明する。
「なるほど。あの人なら作っておきそうだ。まさかこの爆発は君か?」
アランは割とあっさり納得して、爆発のことを聞く。それにライは「あー。そんなとこ」と曖昧に答えただけで、まだ床にへたり込んでいるユイを起こした。
「じゃあ、オレ等行くから。こんだけ派手にやられてたら研究できねーし。データ吹っ飛んじまってるし、オレ等元に戻ったから研究しても意味ないだろ?」
ライはユイを抱き抱えて部屋を出ようとした。
「待…て。ライ…」
「もう用はないだろ。じゃーな」
ライはそれだけ言うと部屋を後にした。
研究所の出口に向かってユイを抱えて廊下を走っていると、ユイが静止の声を出す。
「待ってライ」
「何だ」
その言葉にユイを床に降ろす。
「パパが。パパを探さないと…」
来た道を戻ろうとするユイの腕をライが掴む。
「もう…遅い。親父は死んだ。初めの爆発で。オレはその瞬間を見ていた」
「だったら何でパパを助けてくれなかったの!?」
ユイはライに攻め寄った。見ていたならどうして助けなかったのだと。ライの脚力ならそれができたのではないかと。
「オレだって助けたかった。だけどオレはその時まだ本体に戻っていなかった。意識体となって見ているしかなかったんだ。もっと覚醒が早ければオレだって助けたかったさ…」
爆発をきっかけに覚醒したライは自分の無力さに腹が立った。自分は何もできなかったと、1番必要な時に力を使うことができないならこんな力などいらなかったと。
「ライ…」
ユイは自分を恥じた。ライを責めたとしてもヤキマは帰ってこないのだ。自分のために薬を投与して、いつライの意識が戻るかわからない状況でライを責めることはただのエゴでしかない。「ライ。ごめん…」
「謝んなよ。何もできなかったのはお互い様。それから親父から伝言」
ライは沈んだ空気を明るくするためにわざと声の調子を変えた。