ドゴォーーン。
部屋は大破し、砂埃が舞っていた。ユイは自分が死んだと思った。あんな爆発を間近で受けたのだ。無事でいられるはずがなかった。
「ユ…イ。大丈夫か?」
間近でよく知った声がする。後ろを振り向くと、ライが覆い被さっていた。爆発の際、何かが自分に覆い被さったと思っていたがそれはライだった。爆風による建物の破片からユイを守るためライは身を呈していた。
「ライ。戻れたんだ…」
ライは「あぁ」と短く答えて身を起こしながら爆発の真相を話だした。
「親父は研究をこれ以上させないために研究所に爆弾を仕掛けて爆発させた。お前とオレを守るために…」
「な…に。それじゃあパパは初めからこうするつもりで…。消去するってこういうことだったの?」
ユイは研究所ごと研究を消去しようとしていることに気付いてライに詰め寄った。ユイはただ、私達の研究内容だけを消去するのだと思っていた。
「パパは…。ねぇ、パパは?まさか…」
「親父はこの研究所と共に消えるって。この研究の発端は自分だからって、責任を取るって…」
「そ…んな。そんなことって。だったら私が悪いじゃない。異性になれたらってパパに言ったの私だもん…」
ユイは愕然とした。自分の何気ない提案でヤキマは研究をしただけなのに。悪いのは自分なのに何故ヤキマが責任を取らなければならないのか。全身の力が抜け、床に崩れ落ちた。
「ユイ…」
ライが心配そうに顔を覗き込んでくる。その時、瓦礫の間から「うっ」という声が聞こえてきた。瓦礫が音を立てて崩れていく。そこから出てきたのは血だらけになったアランだった。
「アラン」
ユイとライが同時に声をかける。その後にライがよく無事だったなとボソリと呟いたのをユイは聞き逃さなかった。