その日は朝から研究所内が慌ただしかった。
ﾕｲ自身もそわそわしていた。何故なら、今日はﾕｲが目覚めてからちょうど３年目にあたり、選択の日であるからだ。
「今日でお別れね。こことは…」
ﾕｲは薬を投与してﾗｲと分離したら、ﾔｷﾏとﾗｲと一緒にここを出ようと思っていた。ﾕｲは薬を取り出した。今まで大切に保管していた薬だ。
「これさえ投与すれば私達は自由になれる…」
ﾕｲは腕に注射器を刺した。
「…何も起こらない…」
ﾕｲは何も変化がないことに少し拍子抜けした。すぐに変化が起こると思っていたのだ。
「ま、その内変化が起きるでしょ」
ﾕｲは注射器を置き、ｿﾌｧｰに倒れ込んだ。ﾎﾞｫｰっとしていると段々眠気が増してきた。そしてそのまま、深い眠りに落ちた。


それからどのくらい経っただろうか。ﾕｲは耳元で自分を呼ぶ声で目を覚ました。
「う…ん…誰？」
『ﾕｲ。ﾕｲ。聞こえてる？大至急、研究室に来て欲しいの。すごいことがわかったの』
その声はﾋﾟｱｽ型通信機から聞こえてくるｶﾞｰﾈｯﾄの声だった。
何がすごいことなのかﾕｲにはわからなかったが、研究室に向かうことにした。
研究室に入るや否や、ｶﾞｰﾈｯﾄが興奮した様子で話かけてきた。
「ﾕｲ。この間ﾗｲになった時やっと検査をすることができたの。それですごいことがわかったの。あなた達のDNAを調べた結果、血の繋がりがあることがわかったの。しかも一卵性双生児だったの」
だから異性体になることが出来たんだわ。この発見はこれからの研究に役立つわ。と、大興奮だった。
何だ。そんなことか。それならもう知っている。
ﾕｲはどんなにすごいことを聞かされるのかと期待していたが、 ｶﾞｰﾈｯﾄの話に期待を裏切られた感じがした。
「あぁ。それともう１つ。これが１番驚いたんだけど、この研究所内にもう１人あなた達の血縁者がいるの知ってた？」
「えっ」
まさかﾊﾟﾊﾟが生きていることがバレた…？
ﾕｲはﾔｷﾏのことが気になってしょうがなかった。ｶﾞｰﾈｯﾄが誰のことを言っているのか次の言葉に意識を集中した。