「それは…」
ユイはどう答えていいのかわからず口ごもる。
「…薬を投与したらライはどうなるの?消えるの…?」
ユイは1番気にかかっていた事を聞いた。ライがいなくなってしまうのは嫌だった。しかし、これ以上研究の対象になっているのも嫌だった。どちらを取ってもライを傷付けることになる。だからユイは今まで答えを出せずにいた。ライと離れたくなかったから。
「あぁ。その説明がまだだったね。心配しなくても大丈夫。薬を投与してもライは消えないし、死ぬこともない」
ユイが薬を投与することによってそれが解毒作用につながり、ユイの中のライの意識が消え、ライはもとの本体に戻るという仕組みになっていて消えることはないという。ただ、本体に戻った後ライが目覚めるかどうかはわからないが。
「じゃあ、ライは消えないんだね」
「しかし、目覚める確率はかなり低い…」
「大丈夫だよ。だってあの薬は成功したんだよ。今度だって絶対成功する。ライは目覚めるよ」
ユイは自信を持って言った。絶対目覚めると、信じていた。
「パパの話聞いて決めた。私、薬を投与する。ライを開放する」
ライはライの姿で生きていて欲しいから、夢の中じゃなく実際に触れて会話がしたいから。と、正直な気持ちを言った。
「わかった。ただし、ライが目覚めても、目覚めなくてもパパはこの研究に関する全てのデータを消去する。パパはこれ以上お前達を研究対象にしたくはないんだ。だからこの研究に関する全てのデータを消去する。いいね」
「わかった。じゃあもう行くね。あんまり遅いとアランが心配するから…」
そう言ってユイは地下室を後にした。