「はぁ―。ここまで来れば見つかんねぇだろ。しっかし、ここどこだ?」
ライが入り込んだところは研究室のようだった。今は使われていないようで至る所に器具が散乱し、埃を被っていた。
「汚ねぇ。埃まみれじゃん。でもここだったら絶対見つかんねぇよな」
ライは部屋の奥へと進んでいった。扉の所まで来て何かに躓いた。
「な、んだ?何かにぶつかったみたいだけど…」
ライは何に躓いたのか確認するため下を見た。そこには蓋のようなものが半分開いていた。
「何だこれ。もしかして地下室の通路?」
ライはキラキラと目を輝かせながら、その蓋を開けようとした。その時アランが現れた。
「おい。やっと見つけたぞ。こんなところに入って…」
いきなり声をかけられライは必要以上に驚いた。
「うっわ。驚いた。いきなり声かけんなよ。ビビるじゃん」
「何言ってる。お前が逃げるから悪いんだろう」
アランは息を切らしながら言った。それだけ走り回っていたのだろう。
「だってさー。あんたオレのこと検査するんだろ。ユイから聞いた」
「だからといって逃げなくてもいいだろう。別に痛いことはしないのだから」
命に関わる事をするわけではないと。ただ身体検査をするだけだと。
「だからってさー。オレ検査される筋合いねぇよ」
「お前は唯一少年体になった実験体だ。それを検査して何が悪い」
アランは当たり前だというように言った。それが実験体の定めだと。
「な、んだよそれ。そんな風に言うなよ。モノみたいに言うなよ!」
ライはアランの言葉に怒りを顕わにした。
その時また、頭が痛み出した。
「いってぇ…。くっそ…。まだ言い足りねぇのに…」
そのままライは意識を失った。
「…モノみたい、ね」
アランはライの言葉を復唱した。そして元の姿に戻ったユイを抱き抱えて部屋を後にした。