『―ねぇパパ。人がカタツムリみたいに雌雄同体になれたらいいのにね。そしたら好きな時に女になったり男になったりできるのにね―』
あれから10年。ユイのあの言葉からヒントを得て、両性体の人間を生み出すために研究の日々を送ってきた。その研究がやっと今日、実を結ぼうとしていた。
「ユイ。見てくれ。やっと完成したんだ。お前が待ち望んだ両性体の薬だ」
男はベッドに横たわっているユイという少女の傍らに腰を下ろし、手を取った。
少女の身体には、何本もの管が付けられている。電子音がピッ、ピッ、と鳴っている。それ以外は呼吸音がしているだけ。少女は男に手を取られても、指先一つ動かさない。
「ユイ。お前が生命維持装置を付けてから5年がたった。それなのにお前はあの時のまま、13歳の姿のままだ。あんな光などに当たらなければ……」
そう言って男は注射器をユイの腕に刺した。半分、諦めた目をして。
「ユイ。お前だけが希望なんだ―」
あれから10年。ユイのあの言葉からヒントを得て、両性体の人間を生み出すために研究の日々を送ってきた。その研究がやっと今日、実を結ぼうとしていた。
「ユイ。見てくれ。やっと完成したんだ。お前が待ち望んだ両性体の薬だ」
男はベッドに横たわっているユイという少女の傍らに腰を下ろし、手を取った。
少女の身体には、何本もの管が付けられている。電子音がピッ、ピッ、と鳴っている。それ以外は呼吸音がしているだけ。少女は男に手を取られても、指先一つ動かさない。
「ユイ。お前が生命維持装置を付けてから5年がたった。それなのにお前はあの時のまま、13歳の姿のままだ。あんな光などに当たらなければ……」
そう言って男は注射器をユイの腕に刺した。半分、諦めた目をして。
「ユイ。お前だけが希望なんだ―」