いやいやいやいや!


「あたりまえじゃないから!鈴の親の車とか!まだ早すぎますから!」


鈴さん私を親に紹介する気ですか?!


「なーに言ってんだよ!今から迎えにくるのは運転手さん!親が迎えにくるわけねえだろーが」


「へ?!」


運転手さん?タクシーの?


いや、てかまって、タクシーなわけないじゃん!わざわざ学校にタクシーなんて呼ぶわけないよ!


だってさっきの電話タメ語だったし!


じゃあ、それ以外の運転手さんて?!タメ語で呼べる運転手さんて?!


そんなの、よくお金持ちの人が呼ぶあれしかないじゃーん!!!!


「え、あの、もしかして、鈴ってさ、親が、どっかの社長とか?だったり?しますか?」


鈴がお坊ちゃまという立場かもしれないと思うと自然に敬語を使ってしまう私。


鈴はといえば私のそんな様子を気にもとめず、普通にたんたんと返してくる。


「いや、違うぜ?親父は水橋組の頭だ」


”水橋組の頭”

組=やくざ 頭=組長


私の頭の中はフル回転で鈴の言葉を分析してる。


けど、たどりつくその先は、


「鈴て、組長の、息子?」


汗汗汗


「さっきもそういったじゃねえかよ?てか杏珠どうした?なんか顔色変だぞ?」


やっと私の様子に気づいてくれた鈴は私の顔をのぞいてくる。


だけど、もうだめ。


驚きすぎて、返事もできない。