ちょっとだけ悲しいけど、でも、咲が幸せならそれでいいと思った。


そのまま午後の授業も終わり、放課後。


いつもは一緒に帰る咲だけど、今日は木下君とかえるとかなんとかで、私はといえば、


一人で帰ろうとしていたところを鈴に捕獲され、一緒に帰ることになった。


うー。


なんか、木下君に咲をとられたみたいでやだなー。


鈴は、まだかな?


自分から一緒に帰ろうといっておきながら校門まで来たときからいきなり立ち止まって鈴はどこかに電話をかけていて、


私も、そんな鈴を置いていく気にはなれなくて、それを待っている。


「うん、ああ、頼む」


ピッー


どうやら電話は終わったようだ。


「終わった?」


終わったことは分かってるんだけど、なんとなく聞いてしまう私。


「おう!ま、もう少しまとうぜ!」


鈴はなぜか満面の笑みでそう言ってくる。


「え?まつってなにを?」


「ん?迎えだけど?」


「え?」


なぜに迎え。


てか、迎えって、親呼んだってことではありませんか!


「もしかしてさ、鈴。あたしも一緒にその迎えの車に乗れと?」


「あ?あたりまえだろ?」