「決まりだね」
【下っ端には俺から伝えておきます。近々顔出してくださいね。それと…】
【それと…?】
【覚えてあげて下さいよ、名前。仲間でしょう?】
うっ…バレてる。
相変わらず鋭い。さすがだ。
【わ、分かってるから!大丈夫!】
【なら安心ですね。総長?】
…電話の向こうでいつもの意地悪そうな笑みを浮かべてるのが想像出来る。
恐怖でしかない。
私はそれから逃げるように早口で【じゃあね!】と言いアタフタしながら電話を切った。
一気に静かになった部屋の中で私は希龍のみんなに向き合う。
言いたくはない、けど、どうしても言わなければならない。
私は覚悟を決め、やっと口を開いた。
「なっ、名前を教えてくださいっ!!」
そういった私に返ったのは予想通り「はぁ」という溜息。
「まぁ、蓮の事があったから分かってはいましたけど」
「もしかして僕達のこと髪色で覚えてたー!?」
図星をつかれてビクッとなる。
「改めて自己紹介でもしましょうかねぇ」
「お願いします…」