やっと、終わった。
未だにドキドキする心を落ち着かせるように何度か深呼吸する。
やっと冷静になってきた頃、思い出すパーカーの存在。
結局手に持ったままで返すのを忘れていた。
…蓮のせいで。
さっきの出来事のせいで必然的に蓮の隣に座っている私。
相変わらず余裕そうな彼にちょっとイラッとしながらパーカーを突き出した。
それなのに返ってきたのは「あー、着とけ」という言葉。
「いや、要らないから」
イラッとしているせいもあり無駄に強気になる。
それでもやっぱり彼が揺らぐことは無くて、フッと鼻で笑いながら口を開く。
「さっきまであんなに赤かったのにな」
「なっ…それは!!」
"誰のせいだと思ってるの"そう続けようとした言葉をなんとか飲み込む。