1分もたたないうちにバンッと大きな音を響かせながら扉が開いた。
「おぉ!早かったなー!」
「どーせ早く来ないとまた罰ゲームとか言うからだろうが!てか愛しの転校生って何だよ!!」
そういう事か。妙に納得しながら入ってきた人物に目を向ける。
そこには私の予想していた通りの人が肩で息をしながら立っていた。
「それ私だよ。分かる?」
これ以上の言い合いは見苦しいため私から声を掛ける。
「誰だよ…って美希さん!?」
高橋翔弥(たかはししょうや)
舞蘭の5代目副総長だった人。
普通に考えて私の先輩なのに何故か敬語で話してくる不思議な人。
「翔ちゃん久しぶりっ!相変わらず敬語だね!」
「お久しぶりです!敬語は…まぁ癖で?」
普通に翔ちゃんが好きな私はやっと朝からの沈んだ思いから救出されいつものテンションが戻り始める。
翔ちゃんの敬語は私の事を怒らせた時のトラウマかららしい。
その時の出来事は全く記憶にないけど。
「俺との対応の差が…とりあえず早く教室行け!時間ないぞ!!」
落ち込んでるのか怒ってるのか普通なのか分からない態度で急かされる私達。
「そうですね。行きましょうか」
翔ちゃんが歩き始めたのを見て私も扉に近づく。