「美希がここに入るとか心臓飛び出そうで昨日から寝れなかったんだからな…」
どういう状況だよそれ。
いっそ飛び出でしまえばよかったのに。
なんて言うのは可哀想な気がしたので冷たい視線というものだけプレゼントしてあげた。
「私なんて今日いきなり聞いて来たから何すればいいか分からないんだけど!どーすればいいの?」
いつまでも本題に辿り着けなさそうな気がしたのでさっきまでの話をスルーして強引に話を変える。
「えっとな〜、とりあえず担任呼ぶから待ってな!」
そう言い残し担任を呼ぶらしい鉄ちゃんは何やら棚の引き出しを漁り始めた。
「お!あったあったこれだ!」
何があったのかは謎だがお目当ての物は見つけたらしい。
どうやら鉄ちゃんはボタンを押したようで廊下から微かに「ピーンポーンパーンポーン」なんていう陽気な音が聞こえてきた。
「テステス〜、1-S担任高橋翔弥〜。愛しの転校生がお待ちかねだぞ〜。」
どこから取り出したのかマイクに向かってそれだけを言いブチッという音で終わった。
校内放送ってやつか。
事が終わった鉄ちゃんは満足気に扉を見つめる。
放送で言っていた名前に聞き覚えがある私はもしかしたら…と予想しながら待つ。