無我夢中で鍛錬に励む日々はあっという間に過ぎていった。
全力で付いてきてくれた希龍は以前とは比べ物にならないくらいに成長した。
なんてったって筋肉のつきが半端ない。
いやそれだけじゃないけどね?
きっとその時になったら良くわかる。
必ず証明してくれるだろう。
大丈夫。後は私が乗り越えるだけだ。
大きく深呼吸をして真っ黒な特攻服を羽織る。
私は舞蘭の7代目総長。蘭姫。
終わらせてみせる。
誰も傷つけさせたりしない。
必ず守り抜く。
もう二度と失わないために。
その時は刻一刻と迫っている。
午前10時。
「みんな...」
静かな倉庫の中に響く声。
怖くないはずがない。
ほんとに守りきれるのか。
また失ったらどうしよう。
でもそれは自分だけじゃない。
きっとみんな同じだから。
笑顔で、しっかりと伝えよう。
「生きて」
ほぼ同時に破られたシャッター。
かき消されたかもしれないその言葉は届いたのだろうか。
その答えを知ることが出来ないまま、銀羅との戦いは幕を開けたのだった。