「…悪魔」
ボソッと呟いたつもりが聞こえていたようで、私に差し出されるグラス。
その中には私の苦手なハイボールが注がれていた。
「うわああ!酷いー!!」
「なんのことですかー?」
その澄ました顔ぐちゃぐちゃにしてやりたい!!
うっすら涙目になりながらも全力で睨む私。
「可愛いだけですよ」なんて軽くスルーされてしまったけど。
これを飲まなければいけないのか…なんて気が重くなっていればそのグラスが途端に消える。
さすがに驚いて隣を見てみれば注がれていたハイボールを見事飲みきる蓮の姿が。
「ありがとうーっ!!」
飲まなくて良くなった開放感と嬉しさと酔った勢いで思わず抱きつく私。
そんな私の頭を優しく撫で「美味かった」という彼の顔はお酒のせいなのかほんのり赤く見えた。
その後もどんちゃん騒ぎは続き、皆が眠りについたのは日が出始めてからだった。