「そうだ、琥珀だ。

人間に名を呼ばれるなど・・・久しいな。」



なんの感情も含まれていない声。

でも、なんだか、今は、冷たくない・・・?



「前にも、呼ばれたこと、あったのですか?」


「あぁ。そもそも、俺に琥珀という名をつけたのは、人間だからな。」


「え!?そうなんですか!」



あ、でも、そっか。


鬼と人間から生まれた・・・んだったっけ。



なるほど。

じゃあ、人間である方がつけたってことか。



「だが、俺に名をつけたのは、親ではなかった。」


「ええ!?」


さっきまでのあたしの考えがあっさり崩れた!!!



「そんなに驚くことでもないと思うぞ。

俺は物心付いたときには、親などいなかったのだから。」



え・・・・・・そ、そうだったんだ・・・。




「ある時。

この神社に1人の女が立ち寄って、俺に名をつけたのだ。」


「そうなんですか・・・。

あれ?で、その女の人は今は・・・」