ところどころ黄身が焦げているだけではなく、その形も長方形ではなく台形を形作っていた。

 その隣には少しこげたウインナー。これはそんなものだろう。

 その隣には焦げた野菜が詰められていた。

 おにぎりを見ると多角形のような形になっていた。

 それはそれで弁当なのだと思うが、僕に渡した弁当を作った人が作ったものとは思えない。

「何も聞かないで」

「で、この弁当を作ったのは誰?」

「……わたし」

 沈んだ声だった。彼女はあっさりと認めていた。

 そうだろうなとは思う。

「これは?」

 僕は自分に差し出された弁当を見せる。

 おおよそ母親が作ったものなのだろう。しかし、どうせなら二人分を作ってもらえばよかったのに。

「お兄ちゃん」

 兄?

 意外な言葉に彼女を見た。

「ごめんなさい」

 僕が何かを言う前に彼女は謝った。

「今朝はそのつもりでお弁当を作ったの。

いつもお兄ちゃんが作ってくれていて、きっと簡単だからって思った。

でも、実際作ったらこんなのしかできなくて、お兄ちゃんに頼んで作ってもらった」