その白い肌が少しだけ赤みを帯びている。

「食べたら?」

「何も聞かないでくれる?」

「聞くなと言うなら」

 どう考えても彼女の行動はおかしい。

 そんな行動を取られて、興味が湧かないわけがない。

 彼女は弁当箱に触れる。しかし、なかなか手を動かそうとしない。

「動物の死体でも入っているのかよ」

 そんな彼女の仕草につい言いたくなってしまった。

 どう考えてもそんなことはありえないと思うけど。

「そう。だから」

 無理がありすぎる。

 僕は彼女の弁当を取り上げる。

 そこまでして見られたくない弁当って一体どんなものなのだろう。

 彼女は小さな悲鳴を上げていた。

「見たらダメだって」

 僕はそんな彼女の言葉を無視して、弁当をあけた。

 そこに入っていたものを見て、僕に差し出された弁当の中身と見比べる。

 一方は本の見本にでもできそうなお弁当。

 もう一方はまず玉子焼きの形からおかしい。