「そんなことをしてきたらいろいろ方法はあるよね」

 さっきと何ら変わらない口調で、含みの取れる言い方をしてきた。

 彼女は息を吐くと、僕の顔をじっと見つめる。

 全てを見透かしたような瞳だった。

「でも、そこまでしなくてもあなたにはそんなことができないってわかるから」

 そんな心の内部を探られるような瞳をされると、彼女の肩をつかんでいることさえできなくなる。

 僕は彼女から手を離す。

「僕とつきあってあんたに何のメリットがあるんだよ。金もないし」