彼女のペースにのまれそうになっていることに気づく。

 これではいけないと言い聞かせた。

 いかに彼女を諦めさせようか考える。

 結局、軽く脅すのが一番なのかもしれない。

 好きでもないなら効果的だろうと思ったからだ。

「僕がここで恋人らしいことをしても拒まないんだろう?」

 軽い脅しをかけるつもりで彼女に言う。

 そして、肩をつかんだ。

 怯えた表情や軽蔑の眼差しを向けるのではないかと思い、彼女を見た。

 だが、僕の予想に反し、彼女は満面の笑みを浮かべている。