話によっては三田に聞かれたくもないからだ。

 人に弱みを見せるのも嫌だったからだ。

「来いよ」

 僕はそう言うと、振り向きもせずに教室を出て行く。

 背後から聞こえてくる静かな足音を聞き、彼女が後をついてきていることは分かった。

 僕が選んだのは図書館へと続く通路だった。

 この先は図書館しかなく、閑散としていた。

 図書館の先生が来るまでは本も借りれないので人はまず来ない。

 その上、補習まで時間のあるこの時間は人が来ることはまずないだろう。

 僕は壁にもたれかかると、窓から外を覗く。

 彼女は僕の隣に来ると、じっとこちらを見つめている。