「茉莉先輩。どうしたんですか?」

 昨日、女に近寄っていったような目で彼女に歩み寄る三田。

 だが、彼女は僕の影に隠れる。

 同時に腕をつかまれるのが分かった。

「わたしは彼に用事があっただけだから」

 目の前の三田はおびえるくせに、何で僕の洋服をつかむだけではなく、影に隠れるまでするのだろうか。

 本当に意味が分からない。

 僕に用事があってここにきたなら、彼女の話を聞くしかないのだろう。

「話って何?」

 僕は肩越しに彼女を見る。 

 彼女が顔を上げると、その目が輝いていた。

「ここじゃちょっと」

「外で話を聞くよ」