そして、そのお金の可否は僕の一存に任せられている。

 すなわち、僕が拒めば彼女の手元にお金は入らなくなるのだ。

 そんな条件さえなければ、彼女は金のために何でもするだろう。

 僕の母はそんな女だった。

 彼女は千鳥足で部屋から出て行く。

 僕は襖を閉め、ため息を吐いた。