昨日となんら変わりのない女の姿があった。

 いや、それは正確ではない。厳密に言えば洋服だけが違っていた。

 昨日はブルーのパステルカラーのワンピースを着ていたが、今日の服装は僕の通う高校の制服だった。

 彼女は僕と目が合うと、ピースをしてきた。

「また会ったね」

「なんだよ。お前。人の教室に入ってくるなよ」

「まだ誰も来ていないからいいじゃない」

 彼女は教室の中を見渡す。閑散とした景色が広がっている。

 まだ、朝の補習がはじまる十分以上も前だった。

 登校する生徒の数が増えるのはその十をきった頃。

 そのため、教室内にいるのは僕と三田、そして昨日の変な女だった。