★☆★ 私立・エリザベス学園 ☆★☆
中等部から大学まである私立の学校
芸能科と普通科のふたつの科があり、
芸能科には、俳優やモデル、スポーツ選手などなかなか学校に来れない人が所属
普通科には、将来、代議士や弁護士、医者をめざしている人が所属
ふたつの科は、同じ学校にありながら、校舎も授業カリキュラムも違うので、年に1度の学園祭でしか顔を合わせることはない
芸能という特殊な職業をしている生徒のプライバシーの為、芸能科の校舎はセキュリティーが万全で、芸能科の生徒と教師以外は入ることが出来ない。
普通科も同様、最高の学習環境確立の為、防音などの設備が万全で、学習教材の完備、ストレスを溜め込まないためのトレーニングルームや癒し空間が完備されている
☆1号☆
東野 潤也(ヒガシノ ジュンヤ)
今日から、エリザベス学園の1年生
ただいま、急成長のモデルのため、芸能活動優先するべく、芸能科に入学
この3年間で、モデルとしての地位を確立したい 芸名・ジュン
☆2号☆
香山 りん(カヤマ リン)
今日から、エリザベス学園の1年生
赤ちゃんモデル出身、この3年間で、モデルから女優への転換をはかるべく、芸能科に入学
芸名・Rin
☆3号☆
赤池 龍馬 (アカイケ リョウマ)
今日から、エリザベス学園の1年生
5人組アイドルグループ「King」のリーダー、歌にダンスに演技にレッスン、多忙なスケジュールの為、芸能科に入学 芸名は本名と一緒
☆4号☆
数野 大吾(カズノ ダイゴ)
今日から、エリザベス学園の1年生
5人組アイドルグループ「King」に所属、龍馬同様、歌にダンスに演技にレッスン、多忙なスケジュールの為、芸能科に入学 芸名は本名と一緒
☆5号☆
伊藤 賢次(イトウ ケンジ)
今日から、エリザベス学園の1年生
俳優として、最近とても忙しい。 芸能科に所属
姫花とは幼なじみ、温厚で誰からも好かれる優しい性格
芸名・伊藤 ケン
☆サブ1号☆
大倉 学(オオクラ ガク)
エリザベス学園3年生
俳優のため、芸能科に所属、姫花の兄貴
芸名・大倉 ガクト
☆サブ2号☆
藤田 咲 (フジタ サキ)
エリザベス学園1年生・普通科
普通科で出来た姫花の初めての本当の友達
大倉 姫花(オオクラ ヒメカ)
今日から、エリザベス学園の1年生
女子高生を満喫するべく、普通科に入学
この3年間は、とにかく、友達を沢山作って、彼氏とかも出来ちゃったらいいな♪
って、淡い期待を抱いての入学式・・
えっと・・・普通科の席は・・・
と私は広い入学式会場となっている講堂の入り口でウロウロ・・していたら
「すみません! 芸能科の方の席はこっちではないですよ」
と制服をきた人に声を掛けられた
「いえ・・普通科なんですけど?」
「えっ? そうなんですか!? てっきり・・・・ 普通科の方は1Fの好きな席についてもらって構わないので・・・」
と声を掛けてくれた上級生らしき人は、またウロウロしている新入生を発見しそちらへ行ってしまった
どこでもいいって言われたら、なんとなく前の方の席は避けたいもの・・・
なんて・・空いてるわけもなく、どうせなら!と一番前のド真ん中の席に腰を下ろした
もちろん、まわりは誰も座ってない
あー友達出来るかな?
放課後、普通に買い物とか行ったり、ファーストフード店とかでお喋りしたり・・そういうのに憧れるんだよねぇ・・・
私は、友達になってくれそうな子がいないか、辺りをキョロキョロしていた
「キャー!! ジュンよ!! 」
「ちょっと、隣には龍馬と大吾じゃない!!」
「大吾の後ろにいるのって、Rin? やっぱ顔ちっちゃー」
「やだー 伊藤けんがアメ食べてる! ほら!口からアメの棒が出てるしー!!アメになりたぁい!!!!」
1階席に座っている普通科の生徒達は、2階席に続々と集まってくる同級生となる芸能科の生徒を見つけては、大騒ぎ!
「あーうるさい・・ったく・・なんな訳?」
と姫花が見上げた先の2階席から1階席に向かって手を振る龍馬と大吾
となりで潤也が何か口パクで話している
「・・・・・」
見なかったことにしようと姫花は、姿勢をただし、前を向きなおした
「ちょっと! ジュンが何か言ってる!」
「今、私と目が合ったモン!!」
姫花の近くの女生徒は大騒ぎになっていた
そして、始まった入学式、
教頭の開会のあいさつ・・・
学園長の言葉・・
とたいくつな祭典が1時間近く続き、私達、新一年生は自分達のクラスへ向かった
はぁ・・・やっと落ち着いたかも~♪
普通科の校舎に芸能科の生徒はいないし、静かなもんよ!
と姫花が座ると
「こんにちは! 友達になろうよ!」
「名前なんていうの?」
「どこの中学出身?」
「っていうか、かわいくない? 彼氏とかいる?」
姫花の周りはあっという間に男子生徒で囲まれてしまった
なんなのこれ? かなりむさ苦しい・・・
どうしようか・・と考えていると
「キャー!!!」 「なんでいるの!!!」 「カッコイイ!!」
廊下の方で女生徒の騒ぎ声が聞こえる
歩いてきたのは、芸能科の潤也
芸能科の生徒が普通科の校舎に入ってくることは、通常ない
「ねぇ、1年C組ってどこ?」と近くにいた生徒に聞いている
「えっ!? あっ・・あたしですか!?」
「そう! 君♪」
「あのっ、そこです!!」
「ありがと♪」と潤也は教えてくれた女生徒の肩をポンと軽く叩き、言われた教室の扉の前に立った
「おい! 姫花!! 帰るぞ!!」と大声で叫んだ
しかし、教室を見渡しても姫花の姿はどこにもない。ただ、1箇所だけ、学ランで隠れている場所があった
その集団に向かってもう一度「おい! バカ姫!! 帰るぞ!!」と叫んだ
するとようやく、その集団から姫花が顔を出し
「やだ! 最後のHRまで出る!!」とだけ言い、また座ってしまった
「ンだよ!」と潤也は一瞬で機嫌が悪くなる
機嫌の悪い潤也はそのまま教室に入って行った
「なぁ・・・ちょっとどいてくんない?」
と集団に向かって声を掛けた
潤也に声を掛けられた男子生徒は「えっ!!!」とかなり驚き、潤也に道を空けた
「だから! まだ授業終わってないの! 仕事があるなら帰ればいいでしょ!?」
納得のできない姫花
「今日は入学式だろ? 入学式は終わったんだから、もういいだろ?」
と潤也は掛けてあった姫花のかばんを持ち、姫花の腕を掴んだ
「えー!! 本気?」
「本気! 龍馬たちも待ってっから!」
姫花はしぶしぶ席を立ち、潤也に手を引かれ歩いていった
他の生徒は潤也と姫花の行動をあっけにとられて見ていた
「もーなんで、潤也が来るのよ?」
「入学式の講堂で、2階からお前に口パクしただろ? お前、あれ無視しただろ?」
「は? 口パク? そんなんで意味わかるわけないっしょ?」
「っていうか、さっきのアレなんだよ? あの囲みは!?」
「囲み取材受けてた」
「は? 取材?」
「そっ! 彼氏はいるの~ とかなんちゃらかんちゃら・・」
「ったく、フザけんな!!」
潤也と姫花が喧嘩腰で喋りながら歩いていると、先の方でりんが手を振っている
「姫花~!! 早く~!!」
姫花が潤也の手を振りほどき、りんに向かって走った
「遅いよ~ 」
「遅いって、HRに出てみたかったの!友達欲しいし!!」
「出てみたいって・・ 本当、姫はマジメなんだよねぇ」
そこへ、潤也が追いついて
「あれ? 龍たちは?」
「あそこ!」
りんの視線の先では、龍馬と大吾が女生徒に囲まれていて、少し離れた所で、賢次が座って、携帯をピコピコ操作していた
「おい! 龍! 大吾!! 賢!!! 行くぞ!」
と潤也は叫び、校門へ向かって歩いていく
「あいよ~!!」と三人もそれに続いて走って来た
6人は、校門手前で、待機していた車に乗り込み、校門に群がる出待ちの女の子達を警備会社の人が抑えている間になんとか走り出した
「どこ行くのよ?」とまだ不機嫌な姫花
「オレらの入学祝パーティー♪」とウキウキの大吾
「誰企画?」と目が笑ってない姫花
「今回は、俺・・」とスッと手を上げた龍馬
「っていうか私、一般人!!」と姫花
「その前に姫は友達だろ? オレ達の姫だろ~」
と大吾は姫花の髪をグシャグシャっとした
「っていうかさー 本気で普通科に入るとは思わなかった!」とりん
「だよな~ 今日講堂で1階に座ってる姫見るまで冗談だと思ってたし!」と賢次
「お前、1番前の真ん中の席って、どんだけ気合入ってんだよ」と笑う大吾
「もう! ずっと本気だって言ってたでしょ?」と姫花は大吾にグシャグシャにされた長い栗毛色の髪を直しながら言った
「っていうか、教室で男に囲まれてるし!!」と潤也
「男って・・・ ただのクラスメイトだって!」と潤也を睨む姫花
「そりゃそうだろ~ 姫はかわいいもんな♪」と龍馬
「姫花、少しは危機感持ちなよ?」とりん
「危機感って・・! 普通に学校で危機感持つって、なくない?それに、私は普通に高校生活を送りたいのよ・・。だから普通科! 芸能科に入っても、芸能人じゃないから毎日通学するし、りん達は仕事でこれない日もあるでしょ? 寂しいじゃん! それに、女子高生って人生でたった3年間だし、満喫したいの!!」と力説する姫花