泣きつかれて寝てしまった咲ちゃんをアリに頼んで、姫花の家まで運んでもらった

照明を落としたリビングで考え込む私

そこにガクが帰ってきた

「あれ? お前がタバコなんてめずらしくね?」

ガクは、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、ソファに座った

「あーちょっと考え事・・・・」

「ふーん。 こんな夜中にビールにタバコ? 明日の朝、肌ボロボロだぞ?」

「それ、男のセリフ?」

「フッ・・ まぁいいけどさ~ 俺でよければ知恵貸すよ?」

「知恵って・・ アニキ、知恵なんか持ち合わせてた?」

「おまえねぇ・・・・」という兄貴の目が真剣だったから咲ちゃんの事を話してみた


「ふーん・・・で?」

「で?って・・どうしたらいいか悩んでるんでしょ?」

「見えない敵ねぇ・・・ でも、相手には見えてんだろ? だったらそこを利用してけよ?」

「利用?」

「そいつらは、咲ちゃんの事、下に見てるんだろ? だから、咲ちゃんはそいつらには足元にも及ばねぇいい女ってとこ見せ付けろ!」

「うーん・・・」

「今、ゲストルームで寝てんだろ? だったら、明日キャサリンのとこ連れてけば? そんで、来週の姫の撮影も同行させろ!」

女にだらしがなくて、俺様な兄貴だけど、悩んでいたらちゃんと相談に乗ってくれる。

兄貴のアドバイスはなんだかんだいって、結局いつも的確・・・でも、今回のアドバイスの意図がわからない・・・

考え込んでいる私の手から、吸いかけのタバコをとりあげ、自分の口に銜える兄貴

「うわ~・・コレきっつー」とガクは煙をはき、「キャサリンには俺から連絡入れとくから、お前はもう寝ろ!」と一括された

それでも立ち上がらないのを見かねて

「うまくいく・・・ 考えすぎるな」としっかり目を見て言うので、姫花もしぶしぶ自分のベットに潜り込むことにした。