『…………恋愛ものの小説。

なんかそれ、面白いらしいよ』


「そうなの!?」


佐倉くんがわざわざ……?

渡してくれるなんて。


佐倉くんは、きっとこの本は読んでないんだろうな、きっと。

恋愛ものらしいし。


「ありがとう…」


嬉しい。

それよりもこーやって佐倉くんの近くにいることの方が……、


嬉しいんだけれど、ね。


私はへらぁと笑う。

佐倉くんはきょとんと私の方を見た。